応答曲面法を用いた複数車種の同時最適化ベンチマーク問題

2017年4月3日

実社会における設計問題は多数の制約条件を持つことが多く,そのような問題で良質なパレート最適解を効率的に得ることが できる設計最適化手法が必要とされています.設計最適化問題の最適解(多目的最適化問題の場合は非劣解)を効率的に 得ることが可能な進化計算アルゴリズムの研究開発も盛んに行われていますが,制約条件つきベンチマーク問題として 頻繁に利用されているCDTLZ問題や実問題を簡単な解析式でモデル化した問題は,簡単に実行可能解を得ることができる, 複数の制約条件を同時に違反する解が現れる頻度が少ないなどの問題をもっていることが明らかになりました[1].

このことから,マツダ(株),宇宙航空研究開発,東京理科大学の共同研究の成果として,複数車種の同時最適化問題を ベンチマーク問題として提供することといたしました.この問題は複数車種の構造設計の多目的同時最適化問題として 「京」コンピュータ上で実施されたものです[2].この研究開発の背景については参考文献[3-10]をご覧ください. 設計変数は各構造部品の板厚で222個あります.制約条件は衝突安全性能等合計54個です. 単目的の設計最適化ベンチマーク問題(重量最小化問題)および多目的の設計最適化ベンチマーク問題 (重量最小化と共通部品点数最大化)として利用することができます.京コンピュータ上で行った最適化計算では 衝突安全性に関わる制約条件の評価に構造シミュレーションを利用しておりましたが,ベンチマーク問題化するにあたり, 京コンピュータ上で実施された多目的設計最適化の過程で得られたすべてのサンプル点を使い,これらの制約条件を 応答曲面関数でモデル化しています.この問題のベンチマーク化についての詳細は参考文献[11]をご覧ください.

本ウェブサイトでは上述の複数車種の同時最適化ベンチマーク問題を提供いたします.C++ソースコードとして公開いたしますので どのようなOSでも動くはずです.各自の環境でコンパイルしてご利用ください.なお,配布物にはソースコードとあわせて windows 10(64ビット版, Visual Studo2015/2017)で動作確認を行った実行ファイルも含まれています.

提案したベンチマーク問題をもとに,産業界が取り扱う多種多様な設計問題に対して,ロバストで効率的な多目的設計最適化 アルゴリズムの研究・開発が進むことを期待しています.

なお,2017年度内には海外の研究者に向けても本ベンチマーク問題を公開する予定です.

参考文献
[1] 田邊遼司,大山 聖,制約付き多目的最適化ベンチマーク問題の問題点 , P3-10,進化計算シンポジウム2016,2016年12月10-11日.
[2] 小平剛央,大山聖,立川智章,渡辺毅,釼持寛正,大規模並列計算を用いた複数車体構造の同時設計最適化, 日本機械学会第29回計算力学講演会(CMD2016),愛知県名古屋市,2016年9月22-24日.
[3] 特集-マツダの構造改革とブランド価値向上に向けた取り組み,マツダアニュアルレポート2008, pp16-29, 2008.
[4] 特集 SKYACTIV TECNOLOGY  SKYACTIV-ボディ,2011年マツダ技報,2011.
[5] 特集 CX-5 CX-5 SKYACTIV-BODY ストラクチャの開発,2012年マツダ技報,2012.
[6] 特集 アテンザ 新型アテンザ ボデーシェル開発,2012年マツダ技報,2012.
[7] 特集 アクセラ 新型アクセラの軽量ボデーシェル開発〜SKYACTIV-BODYの更なる進化〜,2013年マツダ技報,2013.
[8] 特集 新型デミオ 新型デミオ・CX-3の軽量ボデーシェル開発,2015年マツダ技報,2015.
[9] 目代武史,新たな車両開発アプローチの模索 - VW MQB,日産CMF,マツダCA,トヨタTNGA -,赤門マネジメント・レビュー,12巻9号,2013.
[10] 梅原智栄,齋藤沙織,モジュール化に伴う自動車業界の経営戦略,早稲田社会科学総合研究別冊「2014年度学生論文集」,2015.
[11] 小平剛央,釼持寛正,大山聖,立川智章,応答曲面法を用いた複数車種の同時最適化ベンチマーク問題の提案,第12回進化計算学会研究会,福岡県福岡市,2017年3月13-14日.



ベンチマーク問題の利用申請方法

本ベンチマーク問題の利用は大学・国公立研究機関の研究者が学術の発展と教育を目的として利用する場合に限り無償で提供させて いただきます.利用を希望される方は誓約書を両面印刷し、必要事項をご記入・ご捺印の上,下記送付先までお送りください. 誓約書を受け取り次第ベンチマーク問題を利用するために必要なパスワードをお送りさせていただきます.
なお,学生・ポスドクのかたからの申請は認めませんので,必ず指導教員からご申請ください.指導教員,グループの リーダーにあたる方からの申請の場合,その方の責任において担当研究室・担当グループの学生・研究者がご利用いただくことは 可能です.ただし,使用者全員に誓約書の内容を周知していただきますようよろしくお願いします.
誓約書 PDF版  WORD版 記載例 
※両面印刷せずに印刷される方,ご捺印を忘れてお送りになられる方がいらっしゃいますのでご送付前に今一度ご確認ください。

企業の方の利用や商用利用は原則禁止とさせていただきますが,もし企業での利用・商用利用をご希望される方が いらっしゃいましたら個別にご相談ください.

初めにご申請いただいた利用期間を延長する場合は下記の「実施期間延長届け」をご提出ください.
こちらは原本をご郵送いただくか,スキャンして作成したPDFファイルをEメールに添付してお送りください.
実施期間延長届け PDF版  WORD版  記載例

誓約書等の送付先
〒730-8670
広島県安芸郡府中町新地3-1
マツダ株式会社
技術研究所 先進ヒューマン・ビークル研究部門
コンフォートビークル研究
小平 剛央

問い合わせ先
benchmark(AT)flab.isas.jaxa.jp ((AT)を@に代えてください)



成果発表をする場合

本ベンチマークを利用した結果について公にする場合は「成果発表申請書」を事前にご提出いただき承認を得てください.
こちらも原本をご郵送いただくか,スキャンして作成したPDFファイルをEメールに添付してお送りください.
成果発表申請書 PDF版  WORD版 記載例

発表する論文等には下記を参考文献として引用いただきますようお願いします.
[引用文献] 小平剛央,釼持寛正,大山聖,立川智章,応答曲面法を用いた複数車種の同時最適化ベンチマーク問題の提案, 第12回進化計算学会研究会,福岡県福岡市,2017年3月13-14日.

また,可能でしたら論文等の発行後には原稿のコピー(PDF形式)を下記までお送りください.
benchmark(AT)flab.isas.jaxa.jp ((AT)を@に代えてください)



ダウンロード

ベンチマーク問題および計算例については下記からダウンロードしてください.ファイルの解凍には誓約書の提出後に 提供されるパスワードが必要になります.
ベンチマーク問題一式 2017/04/03版
ベンチマーク問題の計算例 2017/04/04版



これまで受けたご質問への回答

(1) 誓約書の使用期間はどのくらいに定めたらよいでしょうか?
5年以内でお願いします.
(2) 実施期間の開始日はいつに設定すればよいでしょうか?
契約書右上の申請日と同じにしていただいてかまいません.また,開始日は平日になるように設定をお願いします.
(3) ダウンロードファイルには何が含まれていますか?
Windows(64bit)用実行ファイル,Linux(64bit)用実行ファイル,C++のソースコード,サンプルデータ,利用説明書が含まれています.使い方については添付の利用説明書をご覧ください.
(4) 設計問題の詳細について理解するにはどうしたらよいですか?
参考文献をご覧ください.
(5) 設計変数同士の制約条件はありませんか?
あります.予稿集に,設計変数Aー設計変数B≧0の形で表現記載されています
(6) それぞれの制約条件について,関係する設計変数が違っていることはありませんか?
3車種の構造の同時最適化問題ですが,車種Aの制約関数には車種Aの設計変数しか効きません.また,車種Aのそれぞれの制約条件についても 車種Aのすべての設計変数が関係しているわけでもありません.具体的には,各車種の74変数中,前突で3変数,側突で6変数,後突で3変数は 制約条件に関係していません.それ以外の性能は74変数すべてを使っております。
(7) 集団サイズ・世代数はどのくらいにするのがよいでしょうか?
スーパーコンピュータ京での計算では,集団サイズ約50で京全体システムの約10%を使っていました.システム全体を使うと仮定すると集団サイズは500まで増やすことができました. 2020年頃に稼働予定のポスト京マシンでは約20倍の性能が予定されていますので,集団サイズは最大で10,000になります. 一方,1世代の計算に京コンピュータで約1週間の時間がかかっています. 30世代の計算に約30週間(半年以上!)です. ポスト京コンピュータもノード数・コア数は京と比べて大幅に増加する予定ですが,各コアの計算速度は京とそれほど違わないと予想されます. よって,ポスト京マシンを使っても数十世代,せいぜい100世代くらいまでしかとることができません. 以上まとめますと,世代数は30〜100世代,集団サイズは300〜1000が妥当な線かと思います. なお,下に示すランキングでは,推奨評価回数を30,000回としています.
(8) 設計変数の探査範囲の上下限値はどう設定したらよいでしょうか?
添付されているエクセルファイルの2枚目のシートExplain_DV_and_Const.にあるE列とF列に記載がありますので,こちらをご参照ください
(9) 応答曲面を作成するために使ったデータを(正規化等してもよいので)いただけないか?
サンプル点のデータ(機密情報)は,誓約書第1条で禁止している本件作業(最適化手法の開発)の目的外に利用される恐れがあるため,提供できません. また,正規化等を行ってもデータの特徴(機密性)をなくすことはできませんので,ご理解ください.



ランキング

もし可能でしたら計算結果についてお送りください.結果がある程度集まったらランキングの形で結果を公開したいと思います.
(ないとは思いますが,一度に多数送られてきた場合は更新が追いつかない場合もあります.ご了承ください)

[送っていただきたいデータ(すべて英文で記載をお願いします)]
実行者名
実行者所属
利用したアルゴリズム名と各種パラメータ値
評価回数(推奨評価回数は30,000回)
英文(または和文)参考文献の情報(著者名,タイトル,会議名(雑誌名)発行年,等)
単目的最適化の場合:
(1) 最適解の目的関数値,制約条件値,設計変数値が記載されたCSVファイル(1行に記載してください)
多目的最適化の場合:
(1) すべての非劣解の目的関数値,制約条件値,設計変数値が記載されたCSVファイル(各解のデータを各行に記載してください)
(2) ハイパーボリューム値(目的関数は下記の式を使って正規化した上,参照点を(1.1, 0)として計算してください)
質量     f1,HV = (f1-2.0)/(3.0-2.0)= f1-2.0
共通部品点数 f2,HV = (f2-0)/(74-0) = f2/74
※最適解(多目的の場合は非劣解)については,最終世代の最適解・非劣解ではなく,すべての世代の解から改めて最適解 ・非劣解を抽出したデータをお送りください.また,いただいたデータはこのサイトで公開させていただくことを前提としておりますので ご了承ください.

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